【戦慄】新時代の恐怖。トラウマ級の「モダン・ホラー映画」傑作5選|洗練された映像美と絶望

【戦慄】新時代の恐怖。トラウマ級の「モダン・ホラー映画」傑作5選

ホラー映画の定義が、今、劇的に変わりつつあります。

かつてのホラーが「暗闇から何かが飛び出す」といった物理的な驚きを重視していたのに対し、近年高く評価されている「モダン・ホラー」は、観客の心理をじわじわと侵食し、鑑賞後も消えない「嫌な予感」を植え付けることに長けています。

美しい色彩、計算し尽くされたカメラワーク、そして日常に潜む歪み。今回は、映画マニアの間で「もはや芸術の域」と称される、新時代のトラウマ級ホラーを5本厳選しました。覚悟が決まった方から、その深淵を覗いてみてください。

第5位:イット・フォローズ (It Follows)

ここに「イット・フォローズ」のイメージ画像(歩いてくる人の影など)を配置
公開年2014年
監督デヴィッド・ロバート・ミッチェル
主なキャストマイカ・モンロー

あらすじ:それは、歩いてやってくる

19歳の少女ジェイは、男友達と一夜を共にした後、奇妙な呪いを告げられる。「これから『それ』がお前を追いかける。そいつはゆっくり歩いてくるが、捕まれば死ぬ。逃げ切るには、誰か別の人と寝て呪いを移すしかない」。

「それ」は他の誰にも見えず、知人の姿を借りて、ただひたすら真っ直ぐに、歩いて近づいてくる。走れば逃げ切れる。車でも離せられる。しかし、歩みを止めることはない。いつ、どこから、誰の姿で現れるか分からない「それ」との、終わりのない逃走劇が始まる。

【見どころ】360度パンと「ネガティブスペース」の恐怖

本作の凄さは、ジャンプスケア(大きな音での驚かし)を排除し、「画面の奥から誰かが歩いてくる」という視覚的な不安だけで恐怖を構築している点です。
360度ゆっくりと回転するカメラワークは、背後に誰かがいないかを確認する主人公の視点とリンクし、観客をパニックに陥れます。また、画面内の「余白(ネガティブスペース)」を広く取ることで、そこに「何か」がいるのではないかと思わせる、構図の美学が光る一本です。

第4位:ゲット・アウト (Get Out)

ここに「ゲット・アウト」のイメージ画像(涙を流す黒人青年の顔など)を配置
公開年2017年
監督ジョーダン・ピール
主なキャストダニエル・カルーヤ / アリソン・ウィリアムズ

あらすじ:歓迎されている。何か、おかしい。

アフリカ系アメリカ人の青年クリスは、白人の恋人ローズの実家へ招かれる。当初は人種差別の偏見を心配していたクリスだったが、家族は彼を過剰なほど温かく歓迎する。

しかし、屋敷で働く黒人の使用人たちの虚ろな表情や、親戚たちが集まるパーティーで感じる「何か」がズレている感覚。クリスが感じた違和感は、やがて想像を絶する「恐ろしい真実」へと繋がり、彼は命がけの脱出を試みることになる。

【見どころ】脚本の伏線と「不気味な谷」の演出

コメディアン出身のジョーダン・ピールによる初監督作。「人種差別」という社会問題を、これほどまでに洗練された娯楽ホラーに昇華した手腕は圧巻です。
序盤の何気ない会話や小道具が、すべてラストの伏線になっている脚本の密度は、ミステリー映画としても超一流。相手を「褒めているはずなのに怖い」という、コミュニケーションの歪みが生む恐怖は、現代社会を生きる私たちに深く突き刺さります。

第3位:バーバリアン (Barbarian)

ここに「バーバリアン」のイメージ画像(夜の住宅街と家の扉など)を配置
公開年2022年
監督ザック・クレッガー
主なキャストジョージナ・キャンベル / ビル・スカルスガルド

あらすじ:予約が重なった、見知らぬ男との一夜

仕事でデトロイトを訪れたテスは、民泊サイトで予約した家に向かうが、手違いで既に見知らぬ男キースが滞在していた。外は豪雨、近隣のホテルも満室。仕方なく彼と同じ屋根の下で一晩を過ごすことにするが……。

物語はそこから、観客の予想を何度も裏切りながら、誰も想像しなかった「地下の深淵」へと突き進んでいく。

【見どころ】物語の構造を破壊する「構成美」

本作は「事前情報を一切入れずに観るべき」映画の筆頭です。中盤で物語のトーンが劇的に変わる「ジャンル・ベンディング」の手法が取られており、観客はジェットコースターのように振り回されます。
「現代的な不安(民泊のトラブル)」から始まり、徐々に「古典的な恐怖」へと変貌していく構成は、映画という媒体を知り尽くした監督の遊び心と狂気が詰まっています。2020年代ホラーの中でも、最も「驚き」に満ちた一本です。

第2位:ミッドサマー (Midsommar)

ここに「ミッドサマー」のイメージ画像(花冠と真っ白な服の村人など)を配置
公開年2019年
監督アリ・アスター
主なキャストフローレンス・ピュー / ジャック・レイナー

あらすじ:祝祭が始まる。地獄が目を覚ます。

家族を失った深い悲しみに暮れるダニーは、恋人や友人たちと共に、スウェーデンの奥地で行われる「90年に一度の祝祭」を訪れる。太陽が沈まない白夜の村、咲き誇る花々、そして美しい民族衣装を纏った村人たち。まさに楽園のような光景だった。

しかし、穏やかな祝祭は徐々に不穏な空気を帯び始め、伝統という名の下に執り行われる儀式は、現代人の常識を無残に打ち砕いていく。白日の下に晒される、逃げ場のない狂気の結末とは。

【見どころ】「明るいホラー」という色彩設計の革命

「ホラー=暗い」という固定概念を完全に破壊した作品。白夜による24時間続く光が、逆に「影の隠し場所」を奪い、逃げられない絶望感を生み出しています。
パステルカラーの美しい美術と、それとは対照的な凄惨な描写。アリ・アスター監督は、依存関係にあるカップルの崩壊を、この祝祭を舞台にして残酷に、かつ壮大に描き切りました。トラウマ確定のビジュアルながら、なぜか目が離せない「魔力」を持った映画です。

第1位:ヘレディタリー/継承 (Hereditary)

ここに「ヘレディタリー」のイメージ画像(ミニチュア模型と母の顔など)を配置
公開年2018年
監督アリ・アスター
主なキャストトニ・コレット / アレックス・ウルフ

あらすじ:その家系、逃れられない。

グラハム家の祖母が亡くなった。彼女は家族に多くの秘密を残していた。ミニチュア製作アーティストの母アニー、夫のスティーヴン、高校生の息子ピーター、そしてどこか不気味な雰囲気を持つ娘のチャーリー。

葬儀が終わった後、家族の周囲で奇妙な出来事が頻発し始める。そして、ある「凄惨な事故」をきっかけに、家族の絆は修復不可能なまでに崩壊し、家系に隠された血塗られた呪いが牙を剥く。

【極限ポイント】カメラワークが描く「逃げられない運命」

第1位は、現代ホラーの頂点に君臨する本作。アリ・アスター監督のデビュー作にして最高傑作です。ミニチュア模型のように俯瞰で撮られるカメラワークは、「人間は誰かの手の上で転がされているに過ぎない」という決定論的な絶望を視覚的に表現しています。
トニ・コレットによる「顔芸」を超えた凄まじい演技、そして音響効果。観客の三半規管を狂わせるような不安を煽る演出の数々は、まさにモダン・ホラーの完成形。鑑賞後、部屋の天井の隅を思わず確認したくなるほどの呪縛力を放つ、究極のトラウマ映画です。

まとめ:恐怖は「外」ではなく「内」にある

今回紹介した5作品は、どれも「怪物」そのものよりも、それに対峙する人間の「反応」や「歪み」を克明に描いています。だからこそ、観客は自分の内側にある不安を刺激され、逃げ場のない恐怖を味わうことになるのです。

最新の映像技術と脚本術が結集した「モダン・ホラー」。
ただの刺激では満足できなくなった映画好きの方は、ぜひこの週末、これら5本の「毒」を浴びてみてはいかがでしょうか。

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